Learning from the classics, expressing the contemporaries, and deepening the plastic thinking in the process of drawing. Toshiaki Shibata is the sharp-eyed artist who pursues sophisticated figurative expression through capturing the essence of the figure.

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 セザンヌの作品と印象派の作品の違いを比較してみたとき、特に目立つものの一つに、明度のコントラストがあります。

 

 印象派が用いなかった黒を使っていることもその差を際立たせていますが、セザンヌはその明度コントラストを主に形のキワに集中的に使用しているのです。そのことで、モチーフの形態がはっきりとするだけでなく、画面全体の流れやリズムを生み出しています。つまり、これは明度対比の強調です。

 

 その強調に対し、片ぼかしを用いることで、明度の整合性を保っている点は、ルネサンスのスフマートと同じですが、スフマートがよく観察しないとわからないくらいに自然に変化させているのに対し、セザンヌははっきりとわかるようにグラデーションしています。

 

 そしてこれは、セザンヌの「モデュレーション」、ルフレ(色の反映)の理論をより効果的にみせていると考えられます。

 

 明度コントラストを強めることは、明度差を広げることであり、明部をより明るく見せることが出来ます。結果的に、明部の明度段階をより増やすことを可能にするのです。

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