Learning from the classics, expressing the contemporaries, and deepening the plastic thinking in the process of drawing. Toshiaki Shibata is the sharp-eyed artist who pursues sophisticated figurative expression through capturing the essence of the figure.

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昨日、世田谷区野沢の #ギャラリー汀(みぎわ)にて、私の個展関連イベント「レセプション&アーティスト・トーク」が開催されました。
 
 
 
 大勢のお客様をお迎えし、前半は展示作品について語るギャラリートーク、休憩を挟んで、後半は #箱根ラリック美術館 学芸員の葉山結花(はやま ゆか)氏をゲストに迎え、対談形式でトークショウを行いました。
 
 
 研究発表も含め、ひとりで語るのは経験があるのですが、対談というのは初めてでしたので、とても緊張しました。どうなることかと思いましたが、葉山さんがとても上手に話を引き出して、まとめてくださったので、何とかうまくお話し出来たように思います。
 
 
 対談では、私が制作と研究の両方を行うようになった経緯、フィローノフ研究について、そして研究が自分の作品にどのような影響があったかなど、フィローノフ研究に関わる話を中心に展開しました。また、フィローノフ以外に影響を受けた画家についてや、私の作品の様式について、またそれががいつどのように成立したのかなどをお話しました。
 
 
 
 最後に画家の #大塚研一朗 氏から「かつて昭和会展招待の頃、くすんだ茶色のような赤が使われていたが、最近は鮮やかな赤が増え、また艶のない画面だったのが艶のある色も使うようになってきたように思う。赤の使い方や艶の有無についての変化は意識的か、そしてその理由は?」というご質問がありました。私は「過去はご指摘の通り少し落ち着いた暗めの赤(カドミウムレッド・パープルまたはカドミウムレッド・エクストラディープ)がアクセントになるような使い方でしたが、時を経て少しずつ赤のバリエーションが増えて、彩度の高い赤(カドミウムレッド・ライトなど)も使えるようになった」「くすんだ赤は他の淡い色調のアクセントとして浮かないようにしていた結果だが、徐々に鮮やかな赤を入れても形や色の調和を壊さないように描けるようになったため」と答えました。また「艶の有無は好みと作品の造形的志向の変化です」と答えました。
 
 
 
 この時、説明が足らなかった点をこの場を借りて補足したいと思います。
かつて色彩の中で、私にとって「純色の青」だけは使うことが難しい色でした。つまり、配色上苦手な色だったわけです。それを色彩学的に解決して使用が問題なく出来るようになったのが大学院時代でした。おそらくそれ以降、絵に少しずつ青系統が加わったことに伴い、徐々に赤のバリエーションが増えたのだと思います。つまり、使用する色相における欠け色がなくなったことで、色彩の調和の取り方に幅を持たせることが可能になったことが大きいと思います。
 
 
 また大塚先生から指摘があった、昭和会展出品の頃の私の作品は、「フラクタル絵画(ドリッピングと研磨による偶発的なマチエールを下地とした作品)」を始めた時期で、ドリッピングをしていなくても「描いた形を一旦カドミウムレッド・パープルで塗り潰し、乾いてからサンドペーパーで削り出す」という工程を経ていました。そのため、同じカドミウムレッド・パープルで描かれていても、その工程を経ていた時代の作品の赤は、特に「くすんだ茶系のような色」に見えたのではないかと思います。この当時は「色褪せた古い壁画」調の画面を目指していたことを思い出しました。
 
 
 最後になりましたが、トークイベントにご参加くださった皆さま、年明け急に決まった対談を請け負ってくださった #葉山結花 氏、撮影等ご協力頂いた画家の #手綱笹乃 氏、イベント主催者の #植田嘉恵 氏及び #ガーデンカフェときそら の皆さまに感謝申し上げます。有難うございました。
 
 
 なお、今回撮影されたトークイベントの映像は、いずれどこかで公開出来ればと思っております。

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